長男の結婚







数日前、入籍届に印鑑を押して返送した。
四日朝に届けを出したそうだ。
長男のお嫁さんの家族との対面。
正式には秋に東京で結婚披露。今日は入籍祝。
先方は遠路千葉から車で。
N温泉、Hミズキで。総勢十一名。
両家両親へのお礼は寄木の時計。
これからの人生、一緒に幸せな時が刻まれるように祈る。



翌五日快晴。爽やか。
彼の門出に天も祝福。
誕生日の文化の日も快晴だったから彼は晴れ男。
十時に我が家へ到着。
昆布茶でお客様をおもてなし。
前日巣立ったツバメも歓迎して家に出入り。
その後T神社にお参り。
結婚の報告。
末永く幸せでありますように。



六月三日、新しい家族の方に見て頂くため、二十八年分の古いアルバムの中から、その時々の写真を数十枚取り出す。
生まれた日から社会人となった日まで・・・
彼の二十八年が数十枚の写真に凝縮されていると思うとなんか胸が熱くなった。
二十八年の一日一日の彼の表情と情景が走馬灯のように鮮明に浮かんでくる。
長い年月が全てつい昨日のことのように・・・
見ている間に涙が溢れてきてとまらなかった。



彼が誕生して私の人生はなんとキラキラ輝いたことだろう。
一人の人間の誕生から大人になるまでをずっと見続けてきた貴重な時間。
ありとあらゆる事に一緒に感動し、体験を共有してきたかけがいの無い時間だった。
その間、私は彼と出会って育自。自分育ての時間をもらったのだ。
母親初体験だから相手も大変だったろうな。彼のほうも子供初体験だし・・・
虫を見ても花を見ても感じ方や物事の捉え方が同じだった。
多分感性の面ではよく似てた。
ところが性格が違う。
細かい事にこだわらない。全て前向きのプラス思考。根っから明るい。社交的。
私には無いもの。
その性格のおかげで十八歳からの東京一人暮らしも何事もなく十年たった。
そういえば入学式の帰り、東京駅で見送られ私は新幹線の中で名古屋まで一人で泣きっぱなし。
彼は希望に燃えて生き生きしているのに・・・
心配と寂しさとが入り混じって涙が止まらなかったあの日も懐かしい。
あんなに泣いた事は後にも先にもない。
山で泣いたのは宝剣岳だけだし・・・



十年の月日は彼を大人にした。
人生のよきパートナーとなる人と出会って、新しいスタート。
彼女を守るためにそして幸せにするために彼は自分の人生を強く生きていくのだろう。
どんな辛い事も辛いと想わずに・・・
自分の夢も追い続けながら・・・



もう幼い頃のように手助けも援助も何も必要ない。
これからは二人の幸せを願うだけ・・・
そして夢が実現するよう祈るだけ・・・
一回しかない自分の人生だから。
思い切り羽ばたけばいい。